「プレミアム」について考える〜レクサス店を訪ねて

今正に「格差社会」が浮き彫りになっている。故にあらゆる商品は2極化し、「いいものを安く多く」という部類と、「お金が掛かってもとにかくいいものを・・・」という部類が確立されてきている。特に自動車産業は、そんな富裕層に向けての高級車販売が過熱してきているように思えます。とはいえその大半はメルセデス・ベンツBMW,アウディといったドイツの高級車ブランドが占めており、まさに「輸入車天国」!そんなところにトヨタが満を持して投入してきたレクサスブランド。しかし、今までのトヨタ的な「80点主義の車を大量に売り込む」ことを前提とした販売スタイルでは富裕層には相手にされないと踏んだのか、ことレクサス店に関しては、思いっきり高級で品の高い店舗構成、そしてサービスを、徹底して取り入れている・・・というのは雑誌やインターネットなどでよく見てきました。しかし、あまりに高級過ぎて、一般の人には「座位が高い」と、敬遠されがちな雰囲気になっているというのも事実。果たして僕のような一般ピープルをもてなしてくれるのか?神戸のこれまた高級(そうな)高層マンション街にある「レクサスHAT神戸」を尋ねてみました。
まず、歓迎され方が違う!いきなりドアマンみたいな品のあるおじいさんが近寄ってきて、「お車、お預かりいたします」と、車を駐車場まで移動してくれました。まるで高級ホテルのようなワンシーンから、レクサスのおもてなしは始まった!店に入ると、容姿端麗なスタッフ陣の上品なあいさつ(何じゃそりゃ?)で迎えられ、その広々とした車両展示スペースに足を踏み入れると、店内の造り以外にも、とても静かで落ち着きがある空間が広がる。無駄な店内放送など一切なく・・・しかし子供のはしゃぎ声が聞こえてきた!やはりプレミアムカーとはいえどここはショールーム。子供連れで来る事はたとえそこが高級車ディーラーでも普通にあり得ることだから無理もない、か。
早速展示されているレクサスの車両に乗ってみた。さすがは高級車!選択眼が高い富裕層の方々の目にかなうよう、パッと見だけでは分からないような、細かいところにまでしっかり気を配った、緻密で繊細な造りに感動しました!手に触れるステアリングやシートの感触が実にすばらしい!僕のレガシィも本革シートを採用しているが、その革の柔らかさが違う!手になじむ、とはこういう事を言うのか、と実感。しかもオーディオの音質もびっくりするほど良かった!やはりその秘密は室内構造にあり、遮音材をうまく使っている効果が現れていました!で、従来のトヨタ系ディーラーとの違いとして、セールスコンサルタントと呼ばれる顧客担当者が僕に付きっ切りで、あらゆる僕の質問に丁寧に答えてくれました。そうなると、このショールームのいろんな所が気になってきたので、いろいろ質問してみると、そのセールスコンサルタントの方が、そんな各所施設を案内してくれました。まず驚いたのがサービスピット!写真でみた通りの、全面タイル張りで油臭さなど微塵もない空間でした。で、そんなピットには今後、リコール対象となっているレクサス車が数多く回収されてくるそうですが、「レクサス車の代車は何が出てくるんですか?」と聞いて見たところ、「クラウンマジェスタ」「プリウス」といった、トヨタの高級・高性能車種が割りあてられるそうです。代車がマジェスタ・・・この辺も、一般ピープルには考えられない世界かなと思いつつ、トヨタ車が出てくるあたりは、やはり出来たてのブランドだから仕方ないことなのでしょう。そして、裏の通路に2つの応接室が・・・そこは何と、僕の会社の社長室よりも立派な(!?)、高級貸オフィスのような部屋だったのです!ここに来るのは、やはり社長クラスの中でも特にVIP待遇される人なんだろうな・・・。やがて出るフラッグシップモデル「LS」を買い求める人に活用されそうな特別室の存在に驚きつつ、最後に案内されたのが「レクサス・プレゼンテーションルーム」ここで待望の新車とオーナーの感動のご対面・・・という場所で、その日も迎えに来てくれるオーナーを待つまっさらなレクサス車が停められていました。確か僕が車を買った時は、待ち合わせ場所に中古車屋さんが自走して持ってきてくれましたが、ことレクサスに関しては、取りに行くのが基本だそうです。メルセデスBMWなどの輸入車も、やはりそうなのかな?
そんなこんなで、初めての「高級車のディーラー」訪問を終え、スタッフの方々に見送られながら帰路についた僕ですが、やはり一番実感したのが、「プレミアム」とは、「いかに付加価値が高い物を提供できるか」という点にあるのかな、という事でした。効率やコスト重視の考え方では決してなり得ない、一見無駄に思える物が、実はこの市場では非常に重要な事・・・それは、「心に響くサムシング!」それは世界的高評価を得ている高級ホテルのサービスにも通ずる、まさに「おもてなし」。そして、その人の心に残るもの、その商品でしか成せない希少価値etc・・・。プレミアムの世界は、実に奥が深く、そして極めるのが難しいものなのです!なにしろ対象顧客は、「違いが分かる人達」なのですから・・・。
そんな「プレミアム市場」の最前線における「静かに熱く、気品ある‘戦い’」を実感できたような、レクサス店訪問レポートでした。
 
ところで、レガシィも人によっては「プレミアムカー」なのかな?「水平対向エンジン+4WD」という、スバルしかやってないメカニズムを長期熟成してきた、孤高の存在という点においては、「プレミアム」の評価基準に合っているし、現に、BMWアウディからの乗り換え組も多いそうで・・・。だからこそ、親会社(?)のトヨタには、この貴重なメカニズムをやめないで欲しい!レクサスやってんだから、それぐらい分かって・・・いただけますよね?