「日本レコード大賞」の意義を問う

このほどインターネットニュースで、「今年の日本レコード大賞は放送日を12月30日に変更する」というニュースを見ました。年々視聴率が減少しているレコード大賞(以下 レコ大)最大のネックだった出場者を、紅白歌合戦やカウントダウンライブとバッティングしない30日に変更することで確保しやすくするとか、試合に出場するたびに注目を集めているボクシングの亀田興毅が世界王者になった場合、初の防衛戦がこの大晦日になるということもあり、TBSが完全な「格闘技シフト」を取る目的だとか、いろいろ言われていますが、どうも最近のレコ大は全く意義のないものになっているような気がしてなりません。というのも、審査基準がイマイチ分かりにくいのです。メジャーレーベル(一部インディーズも)から出された全ての日本の曲が対象となる賞ならば、もっとその年を代表する曲が多数エントリーし、そして賞を得るのが普通だと思うのですが、最近大賞候補曲となっている数曲は、「本当にその年を代表する曲なの?」と疑問符をつけたくなるものが多いのです。例えば、月9ドラマ「東京ラブストーリー」「101回目のプロポーズ」が大ヒットし、その主題歌「ラブストーリーは突然に小田和正)」「SAY YES(CHAGE&ASKA)」が圧倒的な支持を得た1991年のレコ大でもこの2曲はエントリーされず、1998年には、B'zなどのベストアルバムが大いにその年の話題をさらった影響でその年の新曲に対する注目が薄かったという事情があるとはいえ、大したヒット曲とは決して言えないglobeの曲がなぜか受賞していたという不可解な結果も生まれました。さらに2003年は誰もがその年の代表曲と認めるSMAPの「世界にひとつだけの花」が、大賞にノミネートされていたにも関わらずSMAP自身が直前に辞退するというハプニングがあり、浜崎あゆみが「繰り上げ受賞」するなど、どうも焦点が世間一般のものとズレているような気がするのです。これらの事態はおそらく、レコード会社側が「受賞拒否」している部分が多いとは思いますが、それ程魅力がない賞になってしまったのでしょうか?かつては大賞受賞時の最高視聴率が50%を超えるなどの、音楽ファン注目の一大イベントのはずだったのに・・・。これも以前からこのブログで取り上げている、音楽に対する価値観の多様化が原因なのかもしれませんが、その年を総括するべき「レコ大」なのだから、もっと分かりやすい結果になるべきだと思うのですが・・・。ちなみに世界的に最も権威があると言われているアメリカのグラミー賞も、純粋なCDの売上だけでなく、審査員の意見が反映されていることもあって完全な「国民の意見」ではないのですが、レコ大のような受賞拒否が相次ぐような事態にはなっていません。やはり賞自体をもっと魅力的なものにするためにも、紅白同様、「その年を代表する曲」が多数エントリーすることが必要不可欠と言えそうです。
ちなみにその年にどんな曲がヒットしたかを単純にセールス基準で表彰する賞として、「日本ゴールドディスク大賞」というものがあります。僕的にはそっちの方が、より権威がある賞のように思えます。で、先程紹介したグラミー賞は決してアメリカのアーティストだけではなく、世界各国の曲とアーティストが受賞対象となっています。日本人アーティストの大賞受賞といえば、坂本龍一「教授」が映画「ラストエンペラー」でアカデミー賞の音楽部門作曲賞を受賞するという快挙を達成していますが、歌詞がついた「歌モノ」の大賞受賞というのは、未だありません。グラミー賞には複数のカテゴリーがあり、そのうちの一つにノミネートされた日本の曲はあるかもしれませんが、もしこの世界的な権威を誇る賞を受賞する日本人アーティストが出てきたら、イチローや中田のような「英雄」とさえ言われそうな存在になることは間違いないでしょう!けど映画界では「千と千尋の神隠し」のような世界的注目を集める日本作品が出てきたのに、音楽界では未だこのような快挙を成し遂げたアーティストを見たことがありません。・・・いや、1曲だけあった!アメリカの総合売上チャートのビルボードで総合1位を獲得した唯一の日本の曲、坂本九の「上を向いて歩こう」です!後にも先にもこの1曲のみ!世界各国のアーティストによるカヴァーも複数発表される等、未だにその魅力は色褪せていません!21世紀になった今、早く日本から世界的ヒットを飛ばせるアーティストが出てくる事を心待ちにしています!欲を言えば、それが福岡から出てきてくれたらさらに嬉しい!
う、レコ大とは全く関係ない話で終わってしまった・・・。