「日本のカローラ」と「世界のカローラ」

royaldo2007-03-20

今日は久々の自動車ネタです。けど今日は難しい話かも・・・。
  
というのは、日本を代表する大衆車、トヨタ・カローラの話です。去年の10月に、10代目となる現行カローラが登場したのですが、日本には「カローラ」は存在しません・・・というのは、セダンの車名が「カローラアクシオ」というサブネームを付けて登場したので・・・といってもそれだけでは大したことないのだが、決して「カローラ」という車名が消えたわけではないのです。それは海外仕様!そして、日本の「カローラアクシオ」と海外の「カローラ」は別物なのです!
で、カローラは写真にあるようなデザインです。日本とは別物!けど何でこんな作り分けをしたかというと、日本のアクシオは5ナンバー、海外のカローラは3ナンバーサイズの1760mm(全幅が1700mmを超えると3ナンバー規格になります)。日本のカローラユーザーは60歳前後のシニア世代が多く、そんな方々を中心に「5ナンバーじゃないとカローラじゃない」という意見が根強いのです。トヨタもさすがにシニア世代のカローラユーザーに合わせたものを作った訳ですが、実はこのアクシオは先代カローラシャシーのキャリーオーバー(悪い言い方をすれば、使いまわし)!それに対し、海外のカローラは、全くの新作なのです!
つまり、トヨタが作りたかった本当のカローラは海外に行ってしまったのです・・・。日本を代表する車が、今やメインは海外・・・。それでも日本用に作り分けることができたのは、年間純利益だけで独立国家が創れる程の大巨人、トヨタだからこそ。これがホンダの場合、もはや海外が圧倒的主力市場となったシビックが、完全に日本の意向を無視した(?)3ナンバーサイズで登場したのはご存知の通り。もはやシビックも、海外あってこその車になってしまいました。(その穴をフィットがしっかり埋めているから余計に日本市場に未練がなくなったのかも) しかしもっとひどいのは日産スカイライン。20世紀まで日本で最も多くの支持を集めた人気車だったのですが、今売られているスカイラインは、アメリカでインフィニティG35という車名で売るために作られたもので、いうなれば日本のスカイラインは、ついでに作られた、とさえ言える存在になってしまいました。その証拠として、完全にアメリカサイズとなってしまった大柄なボディ。昔は2000ccだったのに今や3500ccと、もう日本の道路事情に合っているとは言えなくなってしまいました・・・。
  
このように、日本の自動車メーカーは完全に「海外市場ありき」になりつつあるが、それ故に部品や材料を供給するメーカーも、やはり海外市場ありきになっているのが現状です。僕が転職した業界も正にそう!海外で儲けているから過去最高の経常利益を記録する。そして海外現地生産が多いメーカーでは国内の生産現場が空洞化している。けど中には日本の工場でしか作れないものもあり、そのおかげで大手メーカーの工場は息を吹き返してきたのだが、海外とのパイプラインがない企業は堕ちていく一方・・・。ここに、「格差社会」の現実を見たような気がします。結局、実感しづらい好景気の正体は、海外で儲けている企業によるものだったのかもしれません・・・。
だからトヨタは、企業として生き残るが為に母国・日本市場よりも海外市場にウエイトを置いたのでしょう。はたして、カローラアクシオがモデルチェンジする5〜6年後、日本のビックネーム「カローラ」は残っているのでしょうか?そして、日本経済の行方は・・・。